横浜サイエンスフロンティア高等学校
2009年4月、横浜開港150周年記念事業の一つとして、横浜市鶴見区に公立理数科専門高校である横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校が誕生する。「京浜臨海部研究開発拠点」“横浜サイエンスフロンティア”に現在建設中で12月完成予定の校舎には、先端科学技術4分野の実験室20室をはじめ、ゼミ室やホール、天体観測ドームなど大学並みの充実した施設・設備が揃う。7月19日(土)開設準備室の先生方をお招きし、中萬学院本社大ホールにて『中萬学院主催 横浜サイエンスフロンティア高校説明会』を開催した。新校の特色ある指導や取り組み、施設などについてお話しいただいた。
サイエンス(science)とは
「サイエンスには科学だけでなく、medical science(医学)・social science(社会科学)・economic science(経済学)など体系的な学問としての広い意味があります。横浜サイエンスフロンティア高校はサイエンスを通じてさまざまな分野で活躍するフロントランナーを養成する日本初の高校です」こうお話しになったのは、初代校長に就任される佐藤春夫先生。柏陽高校の前校長としてSSH(スーパーサイエンスハイスクール)を活用した進学校作りに手腕を発揮された経歴をお持ちだ。先端科学技術の知識を活用して世界で幅広く活躍する人間を育てるため、横浜サイエンスフロンティア高校は理数教育と英語教育に重点を置く。先端科学技術の実験や国際交流、海外研修といった「驚きと感動による知の探究」を通じ、3年間で高い学力を身につける指導をすすめていくそうだ。創造力・探究力・コミュニケーション力・自立力を磨き、大学進学・海外留学さらに先端研究・起業といった将来の進路に向けた力をつける。
理数教育(サイエンスリテラシーとサタデーサイエンス)と英語教育
「入学後は生徒全員が3年間を通して系統的にサイエンスを学んでいきます。1・2年次はサイエンスリテラシー(Science Literacy)プログラムによる4ステップの課題探究型の学習で研究活動の基本姿勢や考え方を学びます。生命科学、ナノテク・材料、環境、情報通信の先端科学4分野について、DNAシーケンサーや走査型電子顕微鏡といった高度な分析機器を使用した実験実習も全員で行います」と理科担当の先生。毎月1回土曜日に科学技術顧問の先生が直接実験を指導する「サタデーサイエンス(Saturday Science)」もある。2009年4月にはノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊氏をはじめスーパーバイザーによる特別講演3回の実施がすでに決定している。東京大学の研究室訪問など、フィールドワークによる先端科学技術体験も予定されている。国際人に必要な英語でのコミュニケーション力育成にも力を入れる。英語担当の先生は「サイエンスリテラシーの研究発表や海外研修、国際交流でのプレゼンテーションなど、英語を使ったさまざまな実践機会も準備しています」とお話しになった。
大学進学に向けた取り組み
新設校でありながら、「進学校」として国公立理系および難関私立理系を中心とした大学進学を目標としている。開校前から国公立大へ80名、難関私立大へ80名と具体的な進学数値目標を掲げている。「3年次は一人ひとりの進路実現に向けた幅広い選択科目を準備しています。1・2年次に数学をしっかり学習していますから、国公立文系大学の進学にも有利でしょう」とのこと。土曜講習や長期休業講習なども実施し、学習を支援するそうだ。大学進学という点では第一期生より横浜市立大学国際総合科学部への特別入学枠を10名分確保していることも注目だ。「10名」は県内公立高校の中でもっとも多く、「横浜市立大学チャレンジプログラム」として選考は高校と大学が連携して取り組んでいく。高2生の12月に校内選考で希望者のうち40名程度を選抜、選抜された生徒は高3生の7月までの約7ヶ月間、横浜市大教員の指導を受ける。最終的に高3生の8月に10名程度の候補生が決定され、さらに入学前教育が継続して行われるという。
意欲あふれる教師と恵まれた施設や設備、3年間を有効に活用することができるカリキュラム。そういった恵まれた環境で送る3年間は人生で大きな意味を持つにちがいない。生徒・教師が一体となって学校を創っていく楽しみは新校ならではの特徴だ。横浜サイエンスフロンティア高校の第一期生(240名)の募集は今年度入試より行われる。すでに前期・後期両選抜の選考基準も発表されているので、興味を持った生徒は内容を確認しておこう。7月下旬より横浜サイエンスフロンティア高校主催の説明会が横浜市内各地で順次開催中。残すところ、9月20日と11月3日の2回となった。11月の説明会では学校施設の見学会も行う予定。説明会のスケジュールや各回の残席状況をはじめ、横浜サイエンスフロンティア高校の最新情報はホームページで確認しよう。