受験基礎知識
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基礎編
中学受験を他の受験と比べてみると、その特徴がよく分かります。
中学受験 | 高校受験 | 大学受験 | |
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受験者の割合 | 小学生の17% | 中学生のほぼ100% | 高校生のほぼ50% |
受験のチャンス | 小6の1回だけ | 浪人も可 | 浪人も可 |
受験の主導者 | 保護者 | 子ども | 子ども |
入試問題 | 各校独自 | 公立高校は共通問題中心 | センター試験(国公立大すべて、私立大の8割) |
学校成績 | 関係なし | 私立のオープン入試を除き関係あり | 推薦は関係あり |
地域によってクラスの半数が受験をする小学校もあるとは言え、多くは公立中学に進学します。学校自体が受験体制をとる中学・高校と比べ、小学校が受験体制をとることはありませんね。したがって、受験学習の環境も情報も、保護者の方が用意しなければなりません。願書の提出、手続きも保護者の方の役目です。「中学受験は親子の受験」と言われるのはそのためです。
入試問題は各校で違います
公立高校入試にも大学入試にも共通問題があります。しかし中学入試は各校の先生が独自に作成しますから、すべて違います。学校によっては記述式の問題が多かったり記号選択が多かったりと、独自のカラーを持っています。出題傾向もまちまちです。これは中学受験の大きな特徴であり、後述する「偏差値」の意味にも大きな影響を与えます。
入試得点のみの合否判定です
公立高校のすべて、私立高校のほとんどが学校成績(内申点)が合否に大きな影響を与えるのに対し、当日の入試得点のみで合否が分かれるのが中学受験の特徴です。一部の中学では面接もありますが、それが合否に直接影響を与えることはまずありません。
何校受験しても何校合格しても構いません
小6の1回しか受験機会のないかわりに、公立高校受験とは違い、何校でも受験できます。東京・神奈川の中学入試解禁日は毎年2月1日。1日以降1週間近く入試があります。また「午前入試」「午後入試」といって、午前中のみ午後のみで試験が終わる入試も増えており、1日で2校受験することも珍しくありません。1月中にも中学入試は行われます。他県の全寮制中学や千葉・埼玉の私立中学を受験する神奈川の受験生もいます。すべての受験を終えた段階で最終的に進学先を決定することが出来るのも中学入試です。
倍率は学校・入試回によってさまざまです
応募倍率と実質倍率には違いがあります。前者は「出願者÷募集定員」、後者は「実受験者÷合格者」で算出されます。応募倍率が5倍でも、実質倍率が2倍ということがおきます。それは募集定員より多めに合格者を出すためです。1人が3校に合格したら、2校は辞退しますね。辞退分を予想して各校は合格者を出すのです。実は学校にとってこの「読み」はたいへんな作業で、辞退者が予想より多いと不合格者の中から「繰り上げ合格」をだします。合格発表から数日経って学校からうれしい「繰り上げ合格」の連絡が入ることもあります。実質倍率は、たとえばA中学の1回目では3倍、2回目では10倍など、同じ中学でも入試回によって大きく違うことがあります。
どんな学校があるの?
神奈川県内の主な私立中学を分類してみましょう。
男子校
大学附属校 | 慶應義塾普通部 |
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進学校 | ・浅野◆栄光学園◇鎌倉学園◆サレジオ学院・逗子開成◆聖光学院◇藤嶺学園藤沢・武相・横浜 |
中等教育学校 | 桐蔭学園中等教育 |
女子校
大学附属校 | 鎌倉女子大学・相模女子大学・日本女子大学附属 |
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進学校 | ◆青山学院横浜英和(2016年校名変更・2018年共学化予定)・神奈川学園・鎌倉女学院◆カリタス女子◆函嶺白百合学園・北鎌倉女子学園◆湘南白百合学園◆聖セシリア女子◆清泉女学院◆聖ヨゼフ学園◆聖和学院・洗足学園◆捜真女学校◆フェリス女学院◆聖園女学院・緑ヶ丘女子◆横浜共立学園・横浜国際女学院翠陵◆横浜女学院◆横浜雙葉 |
中等教育学校 | 横浜富士見丘学園中等教育 |
共学校
大学附属校 | 慶應義塾湘南藤沢・東海大学付属相模・日本大学・日本大学藤沢・鶴見大学附属・中央大学附属横浜・法政大学第二(2016年より共学化) |
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進学校 | ◆アレセイア湘南・大西学園・神奈川大学附属◆関東学院◆関東学院六浦・公文国際学園・湘南学園・相洋・橘学苑・森村学園・山手学院◆横須賀学院・横浜創英・横浜隼人 |
中等教育学校 | 自修館中等教育 |
別学校
進学校 | 桐蔭学園・桐光学園 |
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◆…ミッション系 ◇…仏教系
系列大学への進学より他大学受験指導を中心にすえている大学附属校は便宜上進学校に分類しています。別学校は男子と女子にクラスが分かれています。ミッション系の学校が多いのは「みなと横浜」の特徴ですね。信仰を持っていなくても構いませんが、礼拝など宗教行事はあります。
学校によって特色はさまざま。学校説明会、オープンキャンパスや文化祭など、実際に足を運んで調べることをお勧めします。
偏差値信仰にご注意
偏差値ってなぁに
偏差値とは、ある母集団の中でどのくらいの位置にいるかを数値で示したものです。偏差値50が中間、それ以上なら上位に、それ以下なら下位に位置します。だいたい25~75程度の範囲で数値がつきます。また標準偏差はばらつきの度合いを示します。標準偏差が高ければ得点のばらつきが大きいことになります。中学受験では避けて通れない数字です。
偏差値の落とし穴
偏差値は母集団によって異なります。中学受験の場合、比較的教育熱心で進学にも関心の強いご家庭のお子さんが母集団です。したがって偏差値50と言っても、学力が小学校の中で平均的位置であるというわけではありません。むしろ小学校では上位の学力であると言えます。
また首都圏には大きな合格判定模試が3つあります。「センター模擬試験(日能研)」「合不合判定テスト(四谷大塚)」「小6統一模試(首都圏模試センター)」です。これらの模試を「三大模試」と呼んでいますが、同じ中学校について、それぞれの模試では合格判定の基準偏差値が違います。さらに2つの中学を比較としたとき、A中学の偏差値よりB中学の偏差値が上だったり下だったりします。
偏差値の呪縛
偏差値は母集団の中での位置を知ることのできるモノサシです。しかしその母集団の中でしか意味を持たない偏差値が一人歩きすると、いろいろ厄介なことが起きます。たとえば学校の価値を偏差値だけでみてしまう。高い偏差値の学校が良い学校で、低い学校は悪い学校だ、という価値観をもって学校をみてしまうとそれぞれの中学が持つ魅力が見えなくなり、我が子にとってベストの中学は?といういちばん大切な学校選びが難しくなってしまいます。
そして、子ども自身が自分の価値を偏差値で見るようになる。これは最も避けなければいけないことですが、偏差値ばかりに目を向けているとそのような事態に陥る危険もあるのです。
中学受験を成功させるには偏差値と上手につきあうことが大切です。
偏差値を超えた合格
その学校への合格者がどの程度の偏差値の生徒であったかをもとに合格ラインが設定されます。公立高校のように共通問題で行われる入試では、模擬試験はまさしく入試を「模擬(まねる)」しますから、その模試での得点状況、偏差値が合否を測る上でかなりの精度を持ちます。
しかし、中学入試問題は各校ばらばらです。でも模擬試験は同一問題です。つまり、模擬試験での偏差値は「受験学力」を測る上では有効ですが、志望校合格の決定打ではないということが言えるのです。言い換えると、志望校合格のためには受験校の出題傾向にあわせた対策が必要だということです。過去の入試問題を解く、出題傾向にあわせた学習をすることで、「偏差値を超えた合格」が実現するわけです。
偏差値60を取らないと偏差値60の中学には合格できない、ということはないのです。
子どもの健やかな成長のために
中学受験を選択するということは
中学生はほぼ全員が、高校生は2人に1人が受験生になりますが、小学生はわずか10人に2人いるかどうか。中学受験を選択すれば「ほかの子と違う」生活が待っています。同時に公立中学に進学するという選択も残されています。中学受験は常にそれらの不安と葛藤に悩まされる宿命にあるということを、まずは正面からとらえたほうが良いでしょう。マスメディアも中学受験が少数派であるがゆえに、時には中学受験賛美、時には中学受験批判と、さまざまに取り上げます。そういった報道や記事に振り回されないことも大切ですね。
中学受験の価値をどうとらえるか
確かな教育方針のもと、高校受験のない豊かな学びの6年間を我が子に与えたいという願いで中学受験を選択するわけですから、私たち中萬学院・啓明館は合格実績以上に一人ひとりの「進学」実績に最大の価値をおきます。全員の第一志望校進学が私たちの使命です。同時に中学受験学習が、お子さまにとってもご家族にとってもかけがえのない価値とならなければならない。なぜなら中学受験を選択する時点でお子さまもご家族も、遊びや家族の団らんの時間など、犠牲を払うのですから。
ではその価値とは何でしょうか。それはお子さまの「こころと知性の健やかな成長」にほかなりません。知的世界の広がり、考える力、作業する力、表現する力の向上といった学習成果はもちろんのこと、目標をもってがんばることの尊さや達成の喜び、そこから生まれる自分への自信など、中学受験学習からしか得られない価値があるのも事実です。それは多くの合格体験記から読みとることができます。
私たちの考える中学受験とは「こころと知性の成長物語」。保護者の方とともに編み上げていきたいと願っています。